NTT COMMUNICATIONS

組織に大義を伝播させていくストーリーのデザイン

NTTコミュニケーションズでは、自社の存在価値を問い直し、向かうべき未来を明らかにする「REBORN」プロジェクトを実施。創業20周年となる2019年に新たな企業理念と信条を策定しました。BIOTOPEでは、これらが意義あるストーリーとして伝播していく仕組みと体験をデザインし、深い理解と共感を生むストーリーブックの作成や、自分ごと化のためのワークショップ展開など、自律創造型の組織づくりに向けた浸透活動を支援しました。

Point

企業理念・信条を生きたストーリーとして伝播させていくパーパスブランディングの活用

自社の歴史やコミュニケーションの時代変遷を掘り上げた、大義のストーリーデザイン

社員一人ひとりが意義を自分ごと化するためのストーリブックと体験づくり

パーパス・ブランディング

大義のストーリーデザイン

クリエイティブ制作

自律型組織づくり

変革のための体験デザイン

課題

長時間の議論の末、定めた理念・信条も言葉だけでは浸透しない。それらを社員一人ひとりが自分ごと化し、普段の業務に生かしていくために、浸透に向けた戦略が必要だった。

BIOTOPEがしたこと

自社の大義を捉え直し、共感できるストーリーづくりを行い、ストーリーブックを制作。それを土台に理念・信条を日々の業務へと活用するための体験デザインとしてワークショップを実施し、内製化を支援した。

結果

社員一人ひとりが立ち返ることのできる変革の拠り所として、ストーリーブックは2万部以上発行された。また、自分ごと化を促すワークショップには経営幹部含め多くの社員が参加し、今後も活用し続けられる浸透活動となっている。

野添貴之(左)
Takayuki Nozoe

NTTコミュニケーションズ 経営企画部 経営企画部門 主査
企業向けネットワークの営業や金融関連の新規事業開発・展開などを経て、2011年より広報室にて国内外でのコーポレート・ブランディングに従事。その傍ら17年より企業変革に向けて検討を開始し、プロジェクトの立ち上げから企業理念・信条の策定や浸透活動に携わる。

金 智之(右)
Jiji Kim

NTTコミュニケーションズ イノベーションセンター デザイン部門(KOEL)担当課長
2011年よりUXデザインを社内に普及推進するUXデザインスタジオを設立。16年に経営企画部デジタル・カイゼン・デザイン室となり、全社のデザイン戦略立案、事業部門との実践活動、人材育成活動などに携わる。HCD-net認定人間中心設計専門家。

自分たちの存在目的を実感しにくくなったことが課題

 

私たちは「REBORN」プロジェクトの立ち上げ兼運営メンバーとして、新しい企業理念・信条の策定を進めてきました。急速な時代の変化により、次々と新しい価値観やスタンダードが生まれていくなかで、自分たちが目指す方向性や大きな目的が実感しにくくなっているのではないかと感じ、2017年ごろから30数人の幹部や社員のヒアリングやさまざまな検討を重ねました。そうしたなかで、自律的な探索を続ける企業文化を醸成するうえで、確固とした理念・信条の定義が必要だと痛感し、社長の後押しを得たうえで、2019年1月から3月にかけて有志社員約100名を巻き込んで新たな企業理念・信条を策定しました(金)。

 

意義を自分ごととして伝播させていくパーパスブランディング

 

ただ、想いを込めて企業理念や信条を固めたものの、私たちには社内に浸透させるノウハウがありませんでした。そこで2019年4月にBIOTOPEさんにご相談に行きました。そのとき「自律的な探索や挑戦、創造を仕掛けていく集団への変革」というテーマをお伝えしたところ、ご提案いただいたのがパーパスブランディングの手法でした。トップダウンで押し付けるのではなく、求心力のある大きな目的や存在意義を定め、一人ひとりがそれを自分ごと化しながら、変革を“生きたもの”として実践・伝播させていくアプローチです。理念・信条の背後にある意図や想いを紡ぎ、また自社の歴史やコミュニケーションとは何かを踏まえ、これに時代の変遷を掛け合わせながら、共感できるストーリーをつくり込んでいく進め方に可能性を感じました(金)。

 

未来を考えるために歴史の変遷を紐解く

 

私が最も共感したのは、企業の歴史から紐解いていくという考え方でした。理念をつくるときも、安易に他社事例を参考にせず、メンバーを過去チーム、現在チーム、未来チームに分けて、自分たちのDNAをキーワード化してあぶり出す作業を徹底的に行いました。リブランディングにおいては、デザインや見せ方など表面的な“お化粧”ではなく、やはり軸となる芯(しん)が大切です。BIOTOPEさんとなら、NTTコミュニケーションズや通信という事業が社会に果たしてきた役割や意義を掘り下げていくことができると感じました(野添)。

実際、BIOTOPEさんの外部パートナーである歴史学者の方も交え、自社の歴史だけでなく、情報通信・コミュニケーションの200年ほどの歴史変遷を掘り下げたことで、策定した理念・信条の意義を大きな時代の流れのなかで捉え直せたのも有意義でした(金)。

 

行動の拠り所となるバイブルとしてのストーリーブックづくり

 

歴史を紐解くことで、私たちの価値が「つなぐ」ことだけでなく、つながった先にある共感や行動、変化まで含めたコミュニケーションを生むことだと実感しました。ストーリーブックの最後には、通信の原点、コミュニケーションの進展、さらに我々を取り巻く社会まで含めた歴史を、らせん構造で表現したページがあります。これが非常に示唆に富んでいて、らせんの先にある「まだ見ぬコミュニケーションが果たして何なのか?」というのを読み手は考えさせられ、そこに向けた行動を促されます(野添)。

紡いだストーリーは、デザイナーさんたちと一緒にクリエイティブに落とし込みました。プロトタイプ(試作版)をいろんな立場の人に見てもらって議論しながら進められたおかげで、多くの人が納得できる内容に仕上がったと思います。経営環境の激変により危機感を抱くことは重要ですが、我々が築いてきた誇りも大切にしないといけません。読み手が次のステップに向けた一歩を踏み出せる行動の拠り所となるようデザインチームの皆さんとも議論を重ねました。こうして完成したストーリーブックは2万部以上を発行し、9月頭にグループ会社も含めて配布しました。(金)。

 

「ストーリーブック」の最後のページには、これまでのコミュニケーションの歴史を紐解いたらせん構造の図を掲載。この先の未来を読み手が自ら問い続けていけるよう表現した。

 

レゴを活用し、理念・信条を自分ごと化していくワークショップを設計・展開

 

ストーリーブックを配布しただけでは、社員一人ひとりが自分ごと化するのは困難です。そこで次のフェーズでは、ストーリーブックを土台に、レゴブロックなどを活用した理念・信条活用ワークショップを実施しました。トップダウンで押し付けるのではなく、各部門・個人の想いやインサイトを起点に、会社と自分の理念や信条との接点を探り、具体的な行動につなげていくことが狙いでした。BIOTOPEさんに経営幹部に向けたワークショップなどを数回ご一緒していただいた後、社内チームで内製化を進めていきました。徐々にではありますが、社内にその志が浸透していると感じています(野添)。

 

幹部向けのワークショップ風景。レゴブロックを活用した「レゴシリアスプレイ」という手法を採用し、個人の想いやビジョンを起点に企業理念や信条を解釈・共有できるようにした。

タネは残ったか?

トップダウンとボトムアップを組み合わせた共創・ストーリー伝播型の戦略を示していただいたのが、私たちがBIOTOPEさんと一緒に取り組みたいと思った理由でした。経営幹部のワークショップの実施後は、ファシリテーションガイドや資料・ツールをいただき、社内チームでの展開や内製化を進めてきました。3時間を超えるワークショップにこれまで既に250名を超える管理職が参加し、大きな手応えを感じています。私たちが目指しているゴールは、企業理念や信条をつくって終わりにするのではなく、企業文化を変えること。それに向けて一歩一歩前進していると感じています(金)。

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