KDDI

思想・世界観を起点にユーザーとつながる新たなPRイベントの企画・実装

KDDIでは、2016年からBIOTOPEと協働で“デジタルネイティブ世代”のスマホ疲れに関するリサーチ&ワークショップを進めてきました。いま大切なのは、つながりすぎず、離れない“スマホとの程よい距離”なのではないか。そんな考えのもと、誕生したのがINFOBAR 15周年モデルとなる「INFOBAR xv」です。そこで、商品に込めた思想・世界観をユーザーに深く知ってもらうため、北鎌倉・建長寺で、「禅寺で味わうツナガリすぎないゼイタク。」 と題した体験型イベントを企画・開催しました。

Point

商品を通じて創りたい世界観・ビジョンを具体的なユーザ体験として具現化

思想・世界観レベルでユーザーとつながり、世に広げていくための新たなマーケティングモデルの原型づくり

企画構想から体験デザイン、クリエイティブ制作まで一貫して支援

ビジョン具現化

マーケティング企画

共創ファシリテーション

クリエイティブづくり

課題

商品自体は好評だったものの、そこに込めた「デジタル・デトックス」「デジタル・ウェルビーイング」という思想・世界観レベルではユーザーとつながれておらず、具体的な体験・価値を提示できていなかった。

BIOTOPEがしたこと

“ツナガリすぎないゼイタク。”という世界観を体験してもらう場として、イベントの企画構想から体験デザインやファシリテーションなどの実装、クリエイティブディレクションまで伴走した。

結果

参加者から好評だっただけではなく、メディアでの体験リポートや動画配信などによるPR効果、さらには「INFOBAR xv」の思想・世界観を社内外に広げ・浸透させていくきっかけのひとつとなった。

砂原 哲
Satoshi Sunahara

KDDI 商品企画本部 プロダクト企画部 端末2グループ エキスパート
1970年埼玉県熊谷市生まれ、東京都荒川区育ち。上智大学文学部哲学科卒業後、映像プランナーなどを経て、2000年よりKDDI勤務。01年、携帯電話のデザインを変革するプロジェクトを立ち上げ、02年より「au Design project」として活動。以降、「INFOBAR」「talby」「MEDIA SKIN」「G9」「Art Editions YAYOI KUSAMA」など70機種を超えるauオリジナルプロダクトの企画・デザインに携わる。

商品に込めた“デジタル・デトックス”の思想・世界観を伝えるために

 

「INFOBAR xv」の発表時に、“デジタル・デトックス”という言葉を初めて使い、メディアから好意的に受け止められました。「ツナガリすぎないゼイタク。」というコンセプトフレーズも好評で、その後、ITの分脈のなかでも、こうした考えが認知されるようになりました。ただ、“デジタル・デトックス”という概念には多くの共感が寄せられたものの、それがどういうライフスタイルを指すのか、具体的なところまで落とし込めていませんでした。そこで、2016年からBIOTOPEさんと一緒に進めてきた、“スマホとの程よい距離感”を考えるリサーチ&ワークショップの集大成として、体験型のイベントを企画することにしました。

 

「INFOBAR xv」に込められた“デジタル・ウェルビーイング”の思想

 

「INFOBAR xv」の開発を進めるなかで、私自身、影響を受けたのが、当時、米西海岸のテック企業の間で流行していた“マインドフルネス”でした。禅の“瞑想”から宗教色を取り払ったこの実践手法は、ストレスを与えるもとになっている過去の記憶や未来の想像を一旦停止し、“いまここ”“いまの瞬間”に注意を向けることで、ストレスへの過敏な反応が抑えられる効能が期待できるという研究結果があります。実際、私も自己流で試してみたところ、五感が冴え渡っていく感覚がとても新鮮で、“いま、この瞬間”を大切にするマインドフルネスの思想が、「INFOBAR xv」の「ツナガリすぎないゼイタク。」というコンセプトへと発展していきました。発売当初の段階では、こうした背景にある思想は全面的に打ち出していませんでしたが、今後は本来、「INFOBAR xv」に込められた、デジタル時代のよりよい生き方、すなわち“デジタルデトックス”や“デジタル・ウェルビーイング”の世界観を少しずつ世に広めたい。そして、思想レベルで深くユーザーとつながっていくことにチャレンジしたい。そういった想いが、今回のイベント実施のきっかけになりました。

 

思想や世界観レベルでわかり合い、一緒に世界観をつくる

 

そうは言っても、そうした思想・世界観を具体的な体験やイベントに落とし込んでいくのは容易なことではありません。しかも、遊びではなく、本物の体験にしたいという気持ちが強かったため、外部の協力を仰がざるを得ませんでした。INFOBARの場合は、単純にデザインが好きという人も多いのですが、今回のイベントではもう少し思想や世界観のほうに重点を置きたかったというのもあり、世界観レベルで深く共創ができるパートナーが必要でした。そこで、イベント会社ではないと知りながらも、頼むならBIOTOPEさんしかいない、という結論に至りました(笑)。

 

北鎌倉・建長寺で味わう「ツナガリすぎないゼイタク。」

 

BIOTOPEさんに最初に相談したのが2019年2月上旬で、イベントを実施したのが3月20 日。急ピッチだったのにもかかわらず、企画構想から当日の体験設計、クリエイティブ制作までよくあれだけのクオリティのものを実装いただいたと、いま思い返しても驚きます。また、BIOTOPEさんの尽力で、鎌倉五山第一位に列せられる名刹、建長寺を会場にできたのも奇跡的でした。南宗の禅僧・蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)により建長5年(1253年)に開山されたこのお寺は、いわばマインドフルネスの源流ともいえる場所。私自身、坐禅はやりたいと思っても、なかなかできなかったことだったこともあり、イベントの開催がとても楽しみでした。

 

リアルな体験を通じて、心身を整えていく体験づくり

 

当日の参加者は、抽選で選ばれた12名。朝9時半から開始したこのイベントは、まず受付で全員のスマホを預かり、それと引き換えに「ツナガリすぎないゼイタク。」へと誘う和綴じのしおりを渡しました(ただし、「INFOBAR xv」は携帯可)。その後、坐禅体験や書道体験を経て、ランチタイムに。ここでは、建長寺が発祥とされる「けんちん汁」をはじめとする精進料理をいただきました。午後からは、インスタントカメラを手に境内を散策しながら“いま”を切り取るワークショップを行い、最後は茶道体験。身体感覚を呼び覚ますようなリアルな体験を重ねながら、心身を整えていく文字通り贅沢な時間でした。そのうえ、茶菓子にINFOBARの象徴色である“錦鯉”柄の羊羹を、特別に「とらや」さんにつくってもらうなど、本当に充実した内容でした。

 

非日常体験を通して、“スマホとの程よい距離感”を実感

 

イベント終了後、参加者の多くが“スマホから離れる世界を体験して、何にも囚われないことが素晴らしく、気持ちのいいことだと気づいた”“自分と向き合う貴重な時間になった”という感想を口にしていました。今回は、我々が「INFOBAR xv」で実現したい世界を感じてもらうために、強制的にスマホが使えない環境をつくりましたが、例えば、通勤電車の中ではスマホはバッグにしまい、ポケットには「INFOBAR xv」を、あるいは週末はスマホを置いて「INFOBAR xv」を持って出かけるなど、日常のなかで意図的にスマホと距離を置く時間をつくることで、もっと快適な生活が送れると思うのです。

 

世界観でユーザーと深くつながっていく、新しいスタイルのPR企画

 

今回のイベントは、幅広い年代の参加者に、「INFOBAR xv」が提示するライフスタイルの本質的な部分を体験・共感してもらうことで、ユーザーと世界観レベルで深くつながっていく関係性づくりのひとつの型を実験できたのではないかと思っています。また、そこでの体験自体がさまざまなメディアの記事になったり、イベントの様子を撮影したプロジェクト映像が拡散したりと、PR的な側面も非常に効果がありました。社内の反応も良好で、「INFOBAR xv」の思想を隅々まで浸透させていくための、きっかけのひとつになったと思います。今回のような、デジタル時代にふさわしいウェルビーイングを考えるイベントは、これからの携帯電話キャリアのあり方を考える意味でも、継続的に行なっていきたいですね。

タネは残ったか?

世界観レベルでユーザーとつながり、世に広げていくための新たなマーケティングモデルを実験することができました。単純にアイデアを考えるとか、商品企画をするというのとは違い、新しい思想や世界観を一からデザインしていくときには、相談する相手を間違えると否定されて、初期段階で潰されてしまいます。まずは時代の潮流を見据えている人に話すことが大切で、そういうときのパートナーとしてすぐに思い浮かぶのが、BIOTOPEさんです。2016年からご一緒するなかで生まれた“デジタル・ウェルビーイング”の思想は、今後スマホから次のデバイスに変わっても大切にしていきたいと考えています。

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