YAMAMOTOYAMA

老舗の歴史的資産を価値に変える戦略デザイン

お中元・お歳暮などのギフト需要の拡大とともに成長してきた山本山ですが、ギフト習慣が変わるなか新たなユーザーの開拓が重要課題となっていました。そこでBIOTOPEでは外部のクリエイティブチームをアサインし、デザインリサーチを起点にしてリブランディングを支援。商品ラインの整理やパッケージのリニューアル、さらにデジタルマーケティングの導入など、創業家のビジョンを戦略デザインに落とし込む取り組みを行いました。

Point

日本橋本店の店舗デザインを起点に老舗のリブランディングをプロデュース

プロセスの見えていない手探りな状態からビジョン、クリエイティブチーム編成、プロセス、ビジネス実装までを一貫して支援

リブランディングにおいて、商品ライン分析やマーケティング、営業変革などのマーケティング側の支援

老舗のリブランディング

デザインリサーチ

デザイン経営

ブランドデザイン

ブランドマーケティング

課題

日本の伝統的な中元・歳暮といった文化とデパート中心で動いていた経済成長とともに歩んできた山本山だが、現在の世代には今までの物販形式中心の拡販では難しい時代になっている。

BIOTOPEがしたこと

創業家のビジョンを元に、それに適した外部のクリエイティブチームを選定。デザインリサーチを起点に商品開発提案や新たなパッケージデザインなど、リブランディングにおける新しい仕組みの実装を支援した。

結果

商品売りから体験売りへのシフトというビジョンをプロセスや戦略をデザイナーと協働しながら構想を具体化。海苔のギフト市場が主戦場だった社内体制が祖業である日本茶の自家需要に対応する体制に変化した。

山本奈未
Nami Yamamoto

山本山 常務取締役

老舗の歴史を受け継ぐ、創業家としての想い

 

山本山の創業は、元禄三年(1690年)です。今でこそ海苔が有名ですが、当初は茶屋として東京・日本橋に店を構えたのをきっかけに、先代による玉露の発明や、江戸の庶民に煎茶を広めるなど、日本茶の発展に大きく関わってきました。そのような歴史がありながらも、現在の事業は海苔が中心です。そこで、以前から自社のアイデンティティである日本茶の事業を強化したいという想いがありました。

 

デザインと経営のつながりを大切にする米国企業

 

シリコンバレーをはじめ、米国西海岸に拠点を置く企業の多くはデザインに対する想いと経営のつながりを重視しています。日本で“デザイン”というと見た目を美しく整える行為と捉えられがちですが、語源からくる本来の意味は、問題に対して大きな視点から解決方法を模索する手段であり、その解決方法はわかりやすく提示されなければなりません。そうしたことを探っていくうちに“デザイン思考”と出合い、佐宗さんのことを知りました。当時、私は日本橋の再開発でリニューアルオープンする本店のデザインを任されることになっており、佐宗さんにはかなり早い時期から相談に乗ってもらいました。

 

本店づくりのためのビジョンインタビューを実施

 

これまでの日本橋本店は物販が中心だったため、限られたお客様しか出入りしなくなっていました。さらに、今はお茶の淹れ方や海苔の食べ方を熟知している人が昔ほど多くありません。新規ユーザーの開拓も視野に入れたこのプロジェクトでは、新店に対して自分のなかで漠然としたイメージはあったものの、当時はまだアイデアがまとまっていない状態でした。しかし、佐宗さんと議論しているなかで、現在のライフスタイルに合った飲食のしかたを提供することが大事だという考えが明瞭になり、カフェスペースを広げ、日本の伝統食の新しい楽しみ方を体験できる場所・しくみづくりに取り組むことにしました。

 

イメージを具現化するデザイナーをコンペで選定

 

店づくりの方向性が定まったところで、BIOTOPEさんには新店をイメージしたインスピレーションコラージュを用意してもらい、それを元に3組のデザイナーによるコンペを行いました。今回のプロジェクトは、当初はリブランディングではなく、普段は米国にいる私と一緒に動いてくれる外部のクリエイティブチームを日本につくるのが目的でしたが、コンペ後に店舗デザインとは別に、若い世代に向けた商品パッケージのリニューアルの可能性も検討することになりました。

 

リサーチを経て、リブランディングのテーマを策定

 

商品のリニューアルに際し、まずはお茶と海苔が現代のライフスタイルでどう捉えられているのかを知るため、お客様や弊社社員を対象にデザインリサーチを実施しました。そこでわかったのがお茶は丁寧な暮らしの象徴になる一方、急須をもたない若い世代に対して敷居を下げ、背景にあるストーリーを伝えていく必要があるということでした。その結果、店舗を変えるだけでなく、そこで販売する商品のパッケージデザインも変えなければならないと感じ、リブランディングのために商品ラインも見直すことにしました。

 

収益性と開発の背景を考慮し、商品を整理統合

 

その後、BIOTOPEさんには売れている商品と売れていない商品の分析や原価率の計算、営業担当者へのヒアリングをお願いしたのですが、これをきっかけに弊社社内で売り上げ重視の考え方から、商品単位の営業利益率を見ていく動きが出てきました。商品の整理統合の際、私が大切にしたのが数字の視点に加え、開発の経緯や背景というストーリーを理解することでした。それがわかれば商品のポジショニングが明確になり、売り上げは少ないけれど残す、あるいは別の商品に切り替えるというような判断を下すことができます。こうしたステップを経て、新しい商品ラインを3つのランクに分け、最上位を「天下一」、次を「上喜撰」、その次を「山本山」としました。

 

新生・山本山のコンセプトを表現するパッケージデザイン

 

お茶は商品の種類が多く、理解するのが容易ではありません。また、弊社の全国の販売店では販売員の知識量の如何を問わず、お客様に対してわかりやすく丁寧に説明することが求められます。そういった意味でも、新しいパッケージデザインは産地と山本山オリジナルの合組(ブレンド)などがわかりやすく、商品名とその背景にあるストーリーが巻物型の缶や祝儀袋のようなパッケージの裏に記載されているので、商品の奥深さも伝えることができます。日本語・英語のバイリンガル表記になったことも、世界に向けて発信するうえで有効だと思います。

 

歴史を掘り起こし、語り直すことで新たな価値を創造

 

プロジェクトの過程で歴史のフィールドワークをしたり、過去の商品台帳や江戸時代の浮世絵の資料を見るなど、使える資産やストーリーを掘り起こす作業ができたのも有意義でした。また、この時期に弊社内に営業推進室という新規の営業視点の企画を行っていく部署が立ち上がるなど、社内の体制がリブランディングに沿って変わっていきました。そんななか、BIOTOPEさんには営業会議の一環として、一部店舗でお茶や海苔を若いユーザーのライフスタイルに合わせて提案するワークショップの実施をお願いしました。こうした検証の場をつくりながら、徐々に全社を巻き込んでいけたのは大きかったと感じています。

 

デジタルマーケティングを導入し、継続的に情報を発信

 

今回のプロジェクトのゴールは、山本山をただものを売るだけでなく、日本人が培ってきた食への考え方や文化を継承し、本当の意味で人々の生活を豊かにするものを提供する組織へと生まれ変わるための道筋をつくることでした。リブランディングは生まれ変わった山本山をアピールするうえで一定の成果があったと思いますが、若い世代に新しい価値を伝えるという点ではまだ十分とはいえませんでした。そこで佐宗さんと企画を練り、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を立ち上げたのも新たな試みです。お茶や海苔といった成熟商品を、現代の生活シーンに合わせて想起してもらえるように、煎茶アーティストや外部フォトグラファー、フードコーディネイターとチームを組み、さまざまな提案を発信しています。

タネは残ったか?

佐宗さんとの取り組みは、問題解決の方法がほかの戦略コンサルティング会社のやり方とは大きく違っていたのが印象的でした。今回のプロジェクトでは、新商品の開発や本店のリニューアルオープンなど、目に見える変化があったことで、社員の意識やお客様に与える印象が変わったと感じています。何をすべきかわからない段階からチームを立ち上げ、柔軟にサポートしてもらえたのはとても心強かったですし、私自身、この取り組みを通して、米国法人ヤマモトヤU.S.A社の職場でも反映できたのはとても有益でした。

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